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町長選挙

『町長選挙』 奥田英朗

なんだか、好みが分かれそうな内容だなぁ。
4つの連作短編からなっているんだけど、どうみても1・ナベツネ、2・ホリエモン、3・黒木瞳がモデル。
4つめはそういう系ではなく、面白い。伊良部は特に何もしてないけど。
実在の人物がモデルの小説を好む人はいいけど、好まない人には駄目そう。
私は微妙…の、駄目寄り。

普通の小説かいてよ…なんだか、社会派気取ってる?問題提起しようとしてる?って冷める。

ま、でも4が面白いし、マユミちゃんが活躍しているから買ってよかった。

個人的順位。
4 >> 1 > 2 >>> 3

※ちなみに
1・オーナー
2・アンポンマン
3・カリスマ稼業
4・町長選挙
# by minato_1116 | 2006-04-15 23:45 | 奥田英朗

Y

『Y』 佐藤正午

書評ブログを読むのが好きです。面白い本を読むと、その本をググってはいろんなサイトを覗いています。
未読の本はネタバレに会う率が高いから見ないようにしているけど。今でも悔やまれるのは『葉桜の季節に君を想うということ』と『ハサミ男』と『慟哭』。
全て斜述トリックですが、どれも読む前にトリックを知ってしまった…ため、今も未読。
分かっていて読んでも面白いのかな。今度読んでみようかな。
それで、お気に入りの書評ブログをブックマークしてほぼ毎日巡回しているんですが、その中にひとつ微妙なブログがあるんです。
とても有名なブログで、更新もマメだし書評もすごく面白い。ただ、その評価が私と真逆…。
もちろんいろいろな感想があってしかるべきだし、自分の感想が正しいなんて全く思っていないし、100人いて100人から絶賛される本なんてありえないと思っているんですが…。
それにしても真逆とは。
私が五つ星をつけた本が酷評されていたり、私が投げ捨てようかと思った本が絶賛されていたり。
あ、でも伊坂幸太郎さんいいねーっていうのと荻原浩さん前は面白かったけど最近はダメだーっていうのは同じです。少し嬉しい。
でも、そのほかの本は(読書数は私のほうが全然少ないんですが)ことごとく。
で、そのブログでオススメされていたのがこの『Y』。
気にはなったんですが、どうだろう…好みが違うみたいだし私にはダメかも…と思いながらも、書店にあったので読んでみました。

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いわゆる「タイムパラドックス」ものですが、タイムトラベルする本人が主人公ではありません。
タイムパラドックスものは「冒険譚」っぽいのが多いですが、本書は40代の悩みを多く抱えた男性が主人公で、しっとりと苦い話です。うん、良作だと思う。
ただね…主人公以外の書き込みが足りないので、他の登場人物の心情や、なによりも北川の行動に対して共感が出来ない。
特に女性の書き方に不満を覚えました。
これで○○とくっついちゃったらどうしようーと思ったんですが、最後に彼女と街を歩くシーン、良かったです。
でも多分読み返したりはしないだろうな…。

あるサイトで、「年齢によって感じ方が違うかも。若い読者には受け入れられないのではないか」という書評を見たので10年後くらいにまた読み返してみるかも?
# by minato_1116 | 2006-04-11 18:57 |

逃亡作法

『逃亡作法』 東山彰良

感想が難しい…。欠点がたくさんあるんです。
特に気になるのは文章。
まず、会話文で「誰が誰に向かって話しているのか」が分かりにくいところが多々ある。
洒落な会話が多いけれど、多すぎて煩わしい。
地の文も、「誰がどういう状況で何をしているのか」が分かりにくい。
欠点というか未熟さかな。デビュー作ですし。
でも、そういう欠点を感じつつも、ページを繰る手が止まらない。
雰囲気・勢い・センスはすごいと思います。
優等生的な『九月が永遠に続けば』と真逆ですね。欠点は多いけど、その他の部分で突出している。
これから大化けする可能性を秘めた作家さんではないでしょうか。
文章的なことは単なる技術不足だと思うので、これからが楽しみです。
# by minato_1116 | 2006-04-11 18:54 |

本購入

週末に本を何冊か購入。最近また図書館に行かなくなってしまった。もう収納スペースがないのに…。
読み終わったらまた図書館に行くぞー。

『チーム・バチスタの栄光』海堂尊
『柔らかな頬』上下 桐野夏生
『おしまいの日』 新井素子
『Y』 佐藤正午

『チーム・バチスタの栄光』これ、すごく楽しみ。今年の、「このミステリーがすごい!大賞」の大賞受賞作。
なんでも満場一致で決まったとか、今世紀最高の大賞受賞作だとか(今世紀は始まったばかりですが…)、実際にレビューを見ても評判いいみたいだし楽しみー。
作者は現役の医師です。医師が病院の小説を書くのってリアルで面白そうだな。しかし多才な人だなあ。
# by minato_1116 | 2006-04-11 18:50 | 日常

九月が永遠に続けば

「九月が永遠に続けば」 沼田まほかる

第五回ホラーサスペンス大賞受賞作。沼田さんは50代の方らしいです。
上手いです。本当に新人?と思うほど筆力が安定していて高い。
情景描写や心理描写も巧み。
でもね…「突出している」というよりも「欠点がない」といった感じなんです。
なんだろうこの物足りなさは…。
何がテーマかわからない、人物造詣はいいのに掘り下げ方が足りない、または登場人物全てに密やかな葛藤があることを、仄めかすのでも掘り下げるのでもなく中途半端に出してしまっているので消化不良(焦点がぼやけてる)、といったところが気になります。
主人公含め登場人物それぞれ、凡人でありながらその奥に微妙な歪みが感じられ、それが作品全体の不穏な雰囲気につながってるとは思いますが、もっとなー、せめて主人公だけでももっと深く!と思ってしまいました。佐知子にも狂気の芽や、歪んだ自己愛を感じますが、「感じる」で終わってしまってるのが。簡単に言えば「もっと壊れて!」っていう感じです。
そういう意味で、息子の失踪を中心にするのではなく、佐知子の内面の葛藤にもっと比重を置いたほうが良かったかな…。
反対に、越智や服部の描写はもう少し少なくても良かったような気がします。
あともうちょっと!!って思うんですよ。もう少し、ワンシーンでも、心に響くシーンや内面の深い洞察なんかがあれば、感想は全然違っていたと思います。

例えば、宮部みゆきさんの「火車」の中の、父親の死亡記事を探して新聞を読むシーン。
人間の弱さや浅ましさや醜さや悲しさに、心底ゾッとしました。

「新人賞」ということで、賞を取りやすくするために、優等生的に纏めてしまったのかもしれません。
次回作に期待です。
# by minato_1116 | 2006-03-28 20:14 |